画像処理
RGB・HSV・Lab色空間の違いとは?画像処理で使い分けるポイントをわかりやすく解説
今回は、画像処理における「色空間」についてご説明します。
画像処理では、画像から対象物を抽出する方法としてグレースケール画像の明るさを利用した2値化がよく使われます。
画素毎の輝度値(白黒の濃淡)から閾値を設定して対象を抽出する方法です。
しかし、グレースケール画像ではカラー画像が持っている情報が損なわれてしまうことがあり、テーマによっては画像の色情報を利用して対象を扱いたいことも多いです。
「色抽出」や「RGB・HSV分離」などといった方法です。
色による領域抽出を行いたい場合はHSV、色の違いを数値評価したい場合はLab、画像をそのまま扱い各色成分を個別に確認したい場合はRGBといったように用途によって適した色空間は異なります。
光の三原色であるRGBと、RGBから変換して利用されるHSVやLabなどの色空間について理解を深めて、様々な画像処理技術を活用しましょう。
※本記事で出てくる用語に興味がある方は過去記事をご覧ください。
画像と画素|MiVLog(ミブログ)
彩度の調整 - 画像を鮮やかにする|MiVLog(ミブログ)
色空間とは?
色空間とは「色を数値で表現する方法」のことです。 例えば、人間はリンゴを見て「赤い」と認識しますが、コンピュータは「赤」という概念を理解しているわけではありません。その代わりに、色を数値データとして扱っています。同じ「赤色」でも、RGBやHSV、Labでは表現手法が異なります。
RGBとは?
RGBは最も一般的な色空間で、下記の3つの値で色を表現します。
- ・R(Red:赤)
- ・G(Green:緑)
- ・B(Blue:青)
また、一般的な8bitカラー画像では下記のように5つの値で色を表現します。
- ・赤:RGB(255,0,0)
- ・緑:RGB(0,255,0)
- ・青:RGB(0,0,255)
- ・黒:RGB(0,0,0)
- ・白:RGB(255,255,255)
画像処理におけるメリット
○汎用性・処理速度
- ・多くの画像処理ライブラリ(OpenCVなど)が対応
- ・計算量が少ない
※OpenCV...画像や動画を処理・解析するための無料のオープンソースライブラリ
画像処理におけるデメリット○ロバスト性
- ・照明の影響などを受けやすい
撮像時の照明の強さや、陽の当たり方などで、画像の明るさが変わると、RGB値も大きく変化してしまいます。そのため「赤色だけを検出したい」といった処理では誤検出が発生する場合があります。
HSVとは?
HSVは人間の感覚に近い表現方法で、下記の3つの値で色を表現します。
- ・H(Hue:色相)
- ・S(Saturation:彩度)
- ・V(Value:明るさ)
画像処理におけるメリット
○汎用性
- ・色の抽出がしやすい
- ・RGBよりも照明変化に強い
- ・マスク処理が簡単
画像処理におけるデメリット
○扱いの難しさ
- ・明るさが極端に変化すると影響を受ける
HSVは色相が円環状になっているため「赤色」が値の両端に分かれて存在するなど、扱いに少し慣れが必要です。 OpenCVなどの画像処理ライブラリでは Hの範囲が0~179°で扱われることもあり、このあたりは利用するソフトウェアやライブラリの仕様の理解が必要です。
Labとは?
Labは、人間が感じる色の違いに近い形で設計されていて、下記の3つの値で色を表現します。
- ・L:明るさ
- ・a:緑⇔赤
- ・b:青⇔黄
例えば、RGBでは数値の差が同じでも、人間には色の違いが大きく見えたり、小さく見えたりします。一方、Labでは数値の変化が人間の知覚に近くなるよう工夫されています。
Lとa*・b*を分けて扱えるため、明るさと色味を分離した解析や色差評価に適しています。
また、Labの3つの値以外にΔEという値も使われます。
基準色と対象色のL*、a*、b*の距離を数値化したものが色差ΔEです。代表的な方式にはΔE* abなどがあり値が大きいほど色の違いが大きいことを示します。ΔEでは空間上の方向の違いは分かりませんが、1つの数値で"どの程度色が違うか"ということを表現できます。
○製造業の色評価で多く活用される
- ・製造業の色評価で多く活用される
- ・照明変化に比較的強い
- ・色差計算との相性が良い
- ・微妙な色違いを検出しやすい
画像処理におけるデメリット
○変換処理の手間、イメージのしにくさ
- ・RGBから変換処理が必要なため、計算量が増える
- ・RGBやHSVに比べると初心者には少しイメージしづらい
Lab色空間は、印刷業界や塗装検査、食品検査などで利用されるケースも多くあります。
例えば、下記等の評価ではLabが活躍します。
- ・塗装ムラ
- ・樹脂の変色
- ・食品の焼き色
- ・フィルムの色差
画像処理を行う場合、どの色空間を使えばよい?
結論、用途に応じて使い分けることが重要です。
- ・RGB:画像表示や一般的な画像処理、カメラ画像をそのまま扱う場合
- ・HSV:色による分類や特定色の抽出を行う場合
- ・Lab:色の違いを高精度に評価したい場合や、色差を定量的に扱う場合
「万能な色空間」は存在せず、目的に応じて最適なものを選択することが、画像処理の精度向上につながります。
まとめ
RGB・HSV・Labは、それぞれ異なる特徴を持っています。
- ・RGB:最も基本的で高速だが、照明変化に弱い
- ・HSV:色の抽出に適しており、人間の感覚にも近い
- ・Lab:色差評価や品質検査に強く、微妙な色の違いを扱いやすい
製造業の画像処理では、「RGB画像を取得し、HSVで色抽出を行い、必要に応じてLabで色差評価を行う」といったように、複数の色空間を組み合わせて利用するケースも少なくありません。ただし、実際の検査や測定で正確な色差評価を行うには撮像条件の固定や色校正といった運用面での対応も必要です。 色空間の特徴を理解して適切に使い分けることで、画像処理の精度や安定性を大きく向上させることができます。まずは、自身の検査対象や目的に合わせて、それぞれの色空間を試してみることをおすすめします。
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