レポート
顕微鏡画像撮影と振動の関係
顕微鏡での撮影・観察ではなるべく避けたい"映像の揺れ"
顕微鏡での観察や、デジタルカメラを取り付けて撮影する際にこんなことに困った経験はないでしょうか。
・画像が"揺れてしまい"映像が見にくい
・撮影した画像が"揺れ"によりブレてしまった
普段から顕微鏡を利用している方でも意外と意識されることが無いですが、こういった"揺れ"の原因は設置環境の振動によることが多いです。
振動自体は非常に小さいもので低倍で観察している際にはあまり気になりませんが、50x以上の対物レンズといった高倍を利用するようなときは顕著にあらわれます。
光学顕微鏡に限らず、電子顕微鏡(SEM)など非常に微細なものを観察する装置で設置環境の振動は大敵です。
例えばこういった振動は 「周囲で動作している機械」「建物の横を通過する車両」「床の材質による周囲の移動から発生」 など様々な要因で発生します。設置環境の振動を考えて設備を置かないと、思ったように観察できないということも起こり得るので注意が必要です。
振動環境の基準 VC基準(曲線)
光学顕微鏡、電子顕微鏡のような精密装置設置床に対する振動環境の評価方法として、近年VC曲線による評価を採用するケースが一般的になっています。
VC評価は人体に関するISO振動基準(有感振動領域)をさらに微振動領域にまで広げたもので、以下のようなものです。
一般的な光学顕微鏡を利用するような場合でも VC-A、 VC-B といった環境が要求されるケースもあります。環境振動の測定は振動系を用いて実施する。または、専門的な会社へ依頼して測定することができます。
引用元:特許機器株式会社様「VC曲線」図 VC曲線
除振台で振動の影響を軽減する
環境振動が大きいからといって別の場所をすぐに用意するようなことは現実的ではありません。そういった場合には振動の影響を軽減するために除振台を利用します。
顕微鏡装置で利用される除振台には、「パッシブ除振台」「アクティブ除振台」の2種類が一般的です。それぞれ除振方法がことなるため、どういった振動を除振したいかで適した除振台を検討する必要があります。
パッシブ除振台
空気ばねなどを利用し、偏荷重などがかかった場合にも装置を水平に保つように除振する。
アクティブ除振台
専用のセンサーなどを利用し、振動に対して逆位相をフィードバッグすることで除振する。
非常に簡単な紹介ですが、精密装置にはこういった振動に対する対策が必要であり、施されているといったことを覚えておいていただければと思います。