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開発システム 事例

大阪府立大学大学院 農学生命研究科様

生命科学の基本ともいえる細胞の研究も、今やITなしでは進められない。ひとつの細胞がふたつに分かれる細胞分裂の瞬間を画像、映像で見ることができるようになったのも、蛍光顕微鏡と高感度CCDカメラ、高性能のコンピュータ、さらに撮影した画像を処理し解析するソフトがあればこそ。 細胞分裂時に1対の染色体がふたつに分かれていく「染色体の分配機構」の研究を進める大阪府立大学大学院の杉本憲治教授が活用しているシステムをレポートする。                     

何千枚もの画像データから細胞分裂の瞬間画像を解析して研究

「ほら、ここですよ、ここ。染色体が引っ張られているようにしてほら、分かれたでしょ?」

パソコンの画面を指差しながら熱心に説明するのは大阪府立大学大学院・農学生命研究科・杉本憲治教授だ。画面には、細胞の中の染色体や核膜、紡錘体といった構造が赤や緑、青色に染められ、染色体が引っ張られるようにして分かれる瞬間がはっきりとコマ送りで映し出される。

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「細胞に色をつける」言うのは簡単だが、その実際の作業は気が遠くなるほど手間と時間がかかる。学生たちが毎日毎日つくり 続けて何ヶ月もかかるという。シャーレの中でまず細胞に遺伝子を入れて培養すること何ヶ月、さらに色がついた細胞を選び出すまでに何ヶ月。色づけに成功するといよいよ撮影。撮影後、さらに膨大な画像データの解析作業が始まる。

生きている細胞に色をつけ、分裂するその瞬間を撮影・記録する

以前は、細胞の分裂について研究するためには、各段階での細胞をすりつぶしたり、抗体と反応させて取り出して、どんな種類のたんぱく質で構成されているかをひとつひとつ調べていたという。ところが、今では細胞の中のそれぞれのたんぱく質に好きな色に付け、生きたまま顕微鏡で観察できるようになった。細胞の観察したい各部分を3色の色で染め、蛍光顕微鏡で拡大した像をカメラで撮影し、コンピュータでその画像を記録していく。

「画期的ですよ。生きている細胞の分裂を実際に目で見て研究することができるんですからね。」蛍光顕微鏡には大きな透明のケースが付いている。中には細胞が入ったシャーレが置かれ、ケース内は、細胞が生きていけるよう、温度、湿度などが制御されている。1-2分おきに自動的にシャッターをきって何千枚もの画像が蓄積されるしくみになっている。

「撮るのはいいんです。カメラで撮影するだけですからね。問題は撮影した画像の解析です。」どの細胞がいつ、どれくらいの速度で分裂するか予測できない。撮影した何千枚もの画像データの中から、分裂が始まった時点の画像を見つけ出して、その前後を時間系列で並べていく。ただ、生きている細胞は動き回るため、顕微鏡の視野から消えてしまうこともしばしば。さらに、分裂するときには細胞は膨らむため、焦点がずれて視野から見えなくなってしまうという。

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大阪府立大学大学院・農学生命研究科・杉本憲治教授
「顕微鏡、カメラなど最適なメーカーの機器を組み合わせて使える画像解析システムを探していて三谷商事の『LuminaVision』と出会い、導入することにしました。アニメーション機能もあり、3次元画像も作れるので、研究成果があがると同時にさらに興味は深まるばかりです。 今後もさらに改良していって欲しい。期待しています。」
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バイオ、生命科学の研究に不可欠な研究者の声を生かした画像処理ソフト

「分裂の途中まで写っていたのに、数分後には見えなくなる細胞もあれば、途中から写っていたりで、分裂の最初から最後までを画像データとしてそろえるのは大変な作業です。これは人間の手作業では不可能。こんな研究ができるのも、コンピュータと画像解析ソフトがあればこそですね。」今や、画像解析システムは生命科学の研究には必要不可欠はツールとなっている。基礎研究はもちろん、薬剤開発のほか、今後、さまざまな研究分野での活躍が期待される。
「コンピュータやカメラといったハードウェアの性能はどんどんよくなります。高性能になればなるほど、その膨大なデータの中から検索したり、加工したり、解析する作業が必要になります。実際にシステムを活用する研究者の声を反映させて使いこなせるソフトウェアがますます重要になると思います。」

次の課題は?と尋ねると杉本教授は言う。
「染色体が分配するプロセスを立体的に動画で見ること。今のものでも3D画像を作ることはできます。でも動かない。立体的な動画を使って、さらに細胞の研究を深めたいと思っています。」

(2003年4月)

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